2017.12.19
借入には1年以内に返済期日が到来する短期借入と、1年より後に返済期日が到来する長期借入があります。運転資金の調達は短期借入で行うのが一般的でしたが、最近では運転資金も長期で調達することが多くなっています。「長期運転資金」という名目です。
◆短期借入と長期借入の違い
短期借入と長期借入は、それぞれ「返済原資」が違います。短期借入の返済原資は売掛金回収金です。
モノやサービスは売れたが代金の回収までに時間を要する場合、その資金ギャップを埋めるために利用するのが短期借入です。返済は回収した売上代金で行います。赤字の会社でも短期融資を受けられることがあるのは、返済原資が利益ではなく売上代金の回収金であるためです。
一方、長期借入の返済原資は減価償却費と利益です。今現在利益が出ている、もしくは将来に渡って利益が出ると判断されなければ、(理屈として)審査をクリアすることができません。
◆短期借入と長期借入のメリット・デメリット
短期借入の返済方法は期日一括返済であることが多く、期日に期限を延長してもらえるならば、ずっと返済をしなくても良いというメリットがあります。
しかし、期日に期限を延長してもらえなかった場合、一度にまとまった返済資金を用意しなくてはなりません。
長期運転資金は毎月一定の返済であるため、計画的に返済していくことが可能です。
しかし、1,000万円の資金ギャップを埋めるために1,000万円の借入をしても、約定返済分は資金が不足しますので、実際に必要な金額よりも余分に借りなくてはならないというデメリットがあります。
◆短期と長期どちらで調達を行うべきか
資金繰りの観点から考えると、毎月発生する資金ギャップ(経常運転資金)は短期借入で調達し、利益を返済に回さずにキャッシュに積み上げるのがベターです。更なる売上拡大に挑戦するための運転資金(増加運転資金)は、挑戦が上手く行かなかった場合でも、既存の利益で長い年月をかけてリカバリーできるよう、長期借入で行うのが良いのではないでしょうか。
◆短期借入を上手に行うためのポイント
期日一括返済の借入を継続し続けることができれば、資金繰りは安定します。但し、短期借入を継続してもらうためには、銀行との信頼関係が必須です。業績を維持するのは当然ですが、多少の業績不振に陥っても一括返済を迫られないよう、日頃からディスクローズを積極的に行う必要があります。
具体的には、試算表や資金繰り表を定期的に提出できれば良いのですが、それが難しい場合は、売掛金と買掛金、在庫の推移だけでも定期的に報告します。
金融機関との信頼関係を確実に構築できます。
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